最近は「働きがい」と「働きやすさ」が明確に区別もされるようになってきました。
働き方を柔軟にする取り組み等が進み「働きやすさ」はずいぶん進んできたものの、果たしてそれだけでいいのか、「働きがい」がなければ社員はむしろ定着しないという議論が見られるようになっています。

「働きがい」とは何か。

世の中にはいくつかの定義がありますが、ここでは、下記のような整理としてみたいと思います。

働きがい=「仕事そのもののやりがい」+「その組織で働くことの充足感」

仕事と組織、それぞれの要素に分解してみました。実際には繋がっていることも多いと思いますが、分けることで何を行うとよいかもわかりやすくなると思います。

仕事そのもののやりがい(仕事要素)

仕事が面白いかどうか。忙しさや大変さではなく、自分で行っている仕事そのものの意義を感じること、そして仕事を通じて自分自身がやりたいことを実現できたり成長実感を感じること。

分解すると下記の4つの要素になると思います。

  • 仕事の目的が社会の何かの役に立っていると感じること
  • 貢献していることについて相手(お客さまや仕事の仲間)から感謝を感じること
  • 自分自身が仕事を通じて成長を感じられること
  • 自分の意思で物事を進めたり決めることができると感じられること

では、これらを実感するためには、例えばどのようなことが必要でしょうか。

  • 仕事の意味、会社の使命を伝える。目の前の貢献がみえにくくても、社会やエンドユーザーへどのように役立っているのかを知ってもらう。
  • 営業や接客などの仕事では直接感謝を伝えられるだけでなく、間接部門等にも仕事の成果をフィードバックし、お客さまの声を伝える。仲間から感謝を伝える。
  • 仕事において少し難しい課題にチャレンジして達成する、スキルを獲得したり習熟するよう目標を設定しその達成を支援し続ける。(それも難しい仕事であれば、自分自身で工夫を促すことでも補完できます)
  • その人のレベルに合わせて、責任と裁量を与えて仕事を任せる。

余談ですが、ドラッカーがマネジメントの3つの仕事として挙げているひとつに、

-making work productive and the worker achieving

という言葉があります。

「仕事そのものを実り多く生産的なものにして、働く人の達成感を高めること」ということです。
これも「やりがい」に通じることかと思います。

その組織で働くことの充足感(組織要素)

その会社という組織の一員として働くうえで感じる納得感。組織への共感や愛着を感じ、心理的な不安を感じずにいられること。組織の一員として自分が認められているという実感が持てること。

これも4つの要素に整理してみました。

  • 経営層とその方針に対して信頼を感じられること
  • 関係性が良好で、心理的安全性を感じ、自分が尊重されていると感じること
  • 評価や処遇が公平で不満を感じないこと
  • 組織としての一体感を感じ、その一員であると感じること

これらを実感するための取り組みの一例も挙げてみます。

  • 経営層が信頼を得られる行動をする(言行一致が信用の基本です)。そして会社の方針を明確にしその方針で経営されていると理解してもらう。
  • 職場の関係性をつくるため、コミュニケーションの場を多くつくり、お互いを尊重し、相互に理解する機会をつくる。
  • 評価制度や報酬制度をきちんと設計し、きちんと運用する。業界平均以上の報酬が望ましい。
  • ミッションやビジョンを軸に組織が同じベクトルを向くよう働きかける。ミッションやビジョンとつなげ、一人ひとりの役割や期待を明確にする。

この組織要素については、じっくりと腰を据えた取り組みの継続や、「仕組み」づくりが要になってくると思います。うまく行っている企業には、それぞれの企業らしい取り組み、仕組みがあります。

「働きがい」を高める責任と意義

社員の皆さんが思うように働いてくれない、という場合は「働きがい」を高めることが出来ていないということです。人生の多くの時間を使って仕事をしてもらうのですから、その時間にしっかり意味付けをするのが経営側の役目であり責任でもあります。

中小企業では上記に出てきた「報酬」がどうしても大企業ほどの水準で出せない場合が多いです。
もちろん必要十分な報酬を払えるようにすることは前提として、
それ以外の「働きがい」を高めることにおいては、実は大企業にはないやり方でできることが多くあると感じています。

比較的小さな組織で動かしやすく、一人ひとりの仕事の影響力が大きいのが中小企業。
そういう観点みれば、それぞれの「働きがい」を高める工夫はしやすいのではないでしょうか。

その会社での「働きがい」を求めて来てくれる人に仲間になってもらう。
「働きがい」でこの会社とともに成長していこうと思ってもらえる。

そんな会社を実現できれば、中小企業はもっと強くなれると思うのです。