中小企業さまのご支援を行っていて心掛けているのは、リーダー人材を巻き込むことです。
もちろん、経営者の方との向き合いが先なのですが、そのうえで、企業の将来を考えるプロセスにリーダー人材を巻き込むということ。

リーダー格の方たちなので、もちろん現場での力がある方たちです。ただ、会社のこととなると、自分の仕事の視点からしか普段見ていないため、どうしても視野が狭くなっているのが普通です。経営者からするとそこが物足りない。直接、そんな話を伺うことも多くあります。

しかも、そこでたまに聞くのが、どうせ中小企業だから人材に限界が・・という話です。
でも今まで接した各企業のリーダー格の方たちは、決してそんなことはなく、むしろ人が少ないからこそ、日々現場で様々な守備範囲のことを広く行っている行動力の高い人たちが多いのです。

彼ら彼女たちが活躍するために必要なのは3つ。①経営の全体像に触れる機会 ②経営についての考え方やスキル ③期待 です。
私の場合は、経営計画の策定のプロセスに巻き込み、全体像を一緒に掴み考える機会をつくりながら、考え方等も同時にお伝えしていくことで、①と②を同時に行っています。ただし最後の③は経営者の方が直接伝えて頂く必要があります。

リーダー人材が育つと何が起こるのか。下記に5つの影響を挙げてみます。

1.社長の右腕、左腕、後継者が育ち、経営が安定する

経営者が経営という仕事に割ける時間が少なく、執行部分に突っ込んで一緒に走っている状況。これでは十分に経営者の役割を果たすことができません。一緒に判断部分まで共有でき、任せられる幹部が育つことで、経営者はようやく経営の仕事に時間を割くことができます。また、昨今問題になっている後継者問題についても、社内で人を育てることができます。後継者そのものであったり、後継者の代の幹部が育つことで企業の経営は将来にわたって盤石になります。

2.様々な強みを企業の成長に活かせる

経営者といえども人ですから、得意不得意があります。そこを補い、強みを補強してくれるのがリーダー人材です。様々な個性とそれぞれの得意なことを集めることで、よりよい判断、より速い行動ができるようになります。

3.リーダー人材が成長し働きがいが高まる

頼りにしていた人材が辞めてしまった・・ということはありませんか。リーダー人材が成長し高い視座を持てるようになることで、成長実感や自己効力感が高まります。企業で必要とされる人材として期待されることは、その人のエンゲージメントを高めます。もちろん、適切なフィードバックや感謝の気持ちを伝えること(言葉と報酬で)による、自己肯定感をもってもらうことも大事です。

4.企業が変化に対応しやすくなる

経営全体を理解した幹部が、現場とのつなぎ役として機能してくれることも重要です。経営者だけではとらえられない顧客や市場の変化について、現場からのサインを受取り経営につなぐ役割は、今の時代において企業が変化対応できる生命線です。全体を分かっていれば、その変化に前向きに対応しようという動きができます。一方、現場のことしかわからないリーダーは、変化への抵抗勢力になることも往々にしてあります。

5.さらにその後輩が育つ。採用者が定着するようになる。

成長した幹部は、後輩を成長させてくれる存在です。経営者の言葉を翻訳し、リーダーシップを発揮する姿を見せることができる存在がいれば、その下の社員の育成がスムーズになります。新規で採用された社員の定着に悩む企業さまも多いと思いますが、このような環境の企業であれば、まずはこの会社で働くことを選んでくれることに繋がるでしょう。

リーダー格の人材を現場だけに放置せず、視座を上げるようにしっかり育てる。
人が少ない中小企業さまだからこそ、その取り組みが大きな差を生むと思うのです。