自分も含めて、皆さんも、日常では消費者として暮らしている。
こんな当たり前のことが、実はマーケティングを考えるうえではとても大事になります。
人は、日々何かを「購買」しています。その手前として、気になるモノやサービスと出会ったり、調べたりしています。そこまで考えずに、つい衝動的に何かを買う場合もあるでしょうし、食料品などはその場で何を考えてその食材を手にとっているか、深く考えてみたこともないかもしれません。
モノやサービスは、それらの持つ特性にょり、どんなふうに選ばれるかは変わります。
最寄り品、買回り品、専門品、という分け方がされます。
食品や日用品は「最寄り品」=近くのスーパーやドラッグストアなどで、価格や機能・品質だけをパッと判断して買うもの。比較的安価で、日常で消費するものです。
服やバッグ、家電などは「買回り品」=嗜好や機能を吟味して気に入ったものをじっくり選びたいから、色々なお店(EC含む)を回って吟味してから買うもの。嗜好や機能にこだわりを持つものです。
車や保険、ブランド品は「専門品」=その一品を買うにあたって、自分で調べたり、専門性の高い店員に相談したりしたうえで、強い信頼や好意を得るに至って買うもの。高級なもの、専門性が高いものです。
この3分類もざっくりはしていますが、確かにその対象によって違うなということは良く分かりますね。
企業のご支援をしていて思うのは、自分たちが「売りたい」という目線になってしまっていることが多いこと。あくまでも買うのはお客さまなので、お客さまが「買いたい」と思うに至るにはどうしたらいいか、ということを「お客さま」の立場にたって考えるということが大切です。
お客さまはどこでそのモノやサービスを知るのか。それも一度の出会いでいいのか、何度も出会って初めてココロに入るのか。どんな印象を持つのか。何を分からないと思うのか。何がきっかけで買おうと思うのか。もしくは買わないでおこうと思われるのか。買って使ったときにどんなことを感じるのか。それを誰かに伝えたりするのか。また次も買ってみようと思うのか。もう次はないと思われるのか。
お客さま自身が自覚している/無自覚であることがたくさん積み重なって、モノやサービスは買われるわけです。BtoCでも、BtoBでも同じです。
普段消費者である私たちが行っている消費行動を忘れ、企業側の人になると突然売り手の理屈になる。
なんのことはない、しっかりお客様の立場に立って、その行動と体験を考えることが重要で、それがマーケティングということなのです。
実際に企業さまでやってもらって有効だなと思うのが、「カスタマージャーニー」を描くこと。
お客さまの旅、つまり出会いから購買やリピートまでの、お客さまの行動と体験を段階ごとに描いていき、その段階ごとに、お客さまの気持ちを想像し、実際に自社でやっていることは何か、足りないことや行った方がいい施策は何か、ということを洗い出していきます。すっかりお客さまになり切って考えることがポイントです。
もちろん、前提としてターゲット像が明確であることや、その心理(インサイト)や行動についての理解ができていることも必要です。
カスタマージャーニーを描きながら議論してみると、お客さまの行動動線に全く施策がフィットしていなかったことや、ここでお客様の気持ちに添えていなかった!ということが発見できたりします。あとは打ち手を考えるだけです。
施策の効果検証を一所懸命やっているのに、その効果が上がらない・・・というお悩みの場合も、そもそもその施策でいいのか?ということをお客さまの体験設計から見直してみるのも手だと思います。
自分が普段モノやサービスを買ったときに、自分のカスタマージャーニーを振り返ってみるのも、よい練習になりますよ。
