事業を次世代に継いでいく意味
最近の中小企業の課題として挙がっていることの一つが、事業の承継がうまく行かず、後継者が見つからず黒字でも廃業する企業が多いということです。いまや後継者不在率は中小企業の半数にのぼる、という統計もあります(中小企業庁「2024年版中小企業白書 第3章 中小企業・小規模企業の現状」)。
黒字を出して経営してきた会社を次世代に継いでいくことは、地域経済の発展においても、従業員の雇用の面でも大切なことです。経営者としても、ここまで力を注いできた会社をできれば次世代に残したいと思うのは当然のことです。
中小企業の事業承継で面白いと思うのは、生き残るための新陳代謝の機能を果たす側面があるということです。
大企業では経営者の交代であっても、年齢層が極端に若返ることは少ないですが、中小企業では、60代から30代へ、というようなことが普通に起きます。経験の面での不安はあるかもしれませんが、先代が伴走しながら、経営に若い感覚を取り入れられます。事業承継を機に、一気にDXが進んだり、マーケティングのアプローチが刷新されたりすることはよくあることです。
先代が紡いできた資産を、次の世代がさらに時代にアップデートしていくありようが、特に中小企業ではドラスティックに起こりえるのです。
経営の承継の準備は早めから
事業承継といえば、世間では株式や資産の承継等にまつわる課題が良く取り上げられます。もちろん株式や資産の承継は、税制面や資金準備も含めしっかりと準備して取り組むべきなのですが、あまり認識されていないのが「経営の承継」の課題です。
「経営の承継」では、大きく2つの課題があります。
一つは「人」の承継。もう一つは「経営のみえない資産」の承継です。
「人」の承継とはつまり、後継者の育成と次世代メンバーの育成。
どうしてもいなければ中途採用から育てるにしても、時間がかかります。少なくとも10年単位で取り組む仕事です。
自分が社長になったら、次の承継を考ええるスタートだという言葉も聞いたことがあります。それくらい託せる「人」をつくる仕事は大切なのです。経営者が高齢になってから慌てても選択肢は限られてしまうのが「人」の問題です。
「経営のみえない資産」とはつまりは経営のノウハウです。
事業における考え方、ネットワークや顧客や取引先からの信頼、組織づくりや人材の評価の考え方、そしてもちろん経営の理念や想い・歴史。
こういった言語化、見える化されにくいものを経営者の方はたくさん持っています。これらを引き継ぐには、引き継ぐべきものをまず棚卸し、数年かけて引き継ぎを進めていくことが必要になります。
「経営の承継」には時間がかかります。
だからこそ、早めから取り組むことが重要と言われるのです。
さまざまな承継の形と準備
家族の形も変わってきました。最近では、事業承継においても親族承継よりも内部昇格での承継が増えてきています。
ご家族で承継が難しいという場合に、息子さんしか考えず娘さんの可能性を考慮していない場合もあります。女性の後継者も今は増えていますので、男女関係なく可能性があることをご認識頂くことも大事だと思います。
また、内部昇格であれば、雇われる立場から経営者としての覚悟を育てることや、そして資金面の配慮も必要になりますね。
それ以外にも、起業を志すような人が、事業承継という形で経営を引き継ぐことを支援するサービスも生まれてきました。
もちろんM&Aという手段もあります。
それぞれ承継の形によって、特徴や配慮事項もありますが、複数の可能性を選択できるよう準備しながら、今できることを準備していきましょう。
そしていざ承継が近づいたときに、後継者と未来像を確認しながら一緒に経営計画を描くなども含めて、どのようにバトンタッチをしていくかというプロセスを考えていきましょう。
今の経営者にとっても、引き継ぐ後継者にとっても、そして社員や取引先にとっても、良い承継を実現したい。
そういう想いで、「人」や「経営のみえない資産」の承継のことこそ大切に考え、伴走させていただきます。
